「大人になったらどう暮らす?」――医療的ケアや重度障害のあるご本人・ご家族、そして支援者と共に未来を考える
2025年8月30日、荻窪タウンセブンホールで開催された「医療的ケアが必要な方・重度の障害がある方の暮らしを考えるシンポジウム」に参加しました。 テーマは「大人になったらどう暮らす?」。 当日は、当事者のご家族や支援者、福祉施設の運営者など多様な立場の方が登壇し、住まいや就労、地域とのつながりといった課題と実践について語られました。 このレポートでは、各登壇者の発表内容をまとめるとともに、私自身が感じた気づきや学びも記しています。
1. 開会挨拶(みかんぐみ 副代表理事・木野氏)
木野氏は、医療的ケアを必要とする中学3年生の長女を育てる母親としての実体験を交え、「18歳の壁」という現実的な課題について話されました。義務教育終了後、進学や就労といった次のステージに移るときに直面する暮らしの不安を率直に語りました。
- 娘は日常的に医療的ケアを必要としており、健康管理や生活の多くが家族に依存している。
- 義務教育が終わる18歳以降、どのように暮らしていくのか明確な道筋が見えず、不安は日に日に大きくなる。
- 「親がいなくなった後、この子はどうなるのか」という問いは、制度が整備されてもなお消えずに残り続けている。
- それでも、「病気や障害があっても豊かに暮らせる社会をつくりたい」という思いを胸に、今回のシンポジウムを開催するに至った。
2. ファシリテーター挨拶(中嶋 弓子 氏)
中嶋氏は、日本財団で難病児支援施設などの事業に携わってきた豊富な経験を紹介しました。特に、病気や障害をもつ子どもとその家族が安心して過ごせる場所をどのように企画・運営してきたか、その現場で得られた学びや苦労について丁寧に触れました。これらの活動は「一人で抱え込まない」「社会全体で支える」という姿勢を体現しており、その後の取り組みの基盤にもなったそうです。
現在は「東京おでかけプロジェクト」を立ち上げ、医療的ケアや障害があっても家族と一緒に“行きたい場所へ行く”ことを実現する活動を続けています。このプロジェクトでは、外出に必要な医療支援体制の整備やボランティアの同行などを工夫し、家族が安心して観光地や文化施設へ出かけられるようにしていることが具体的に紹介されました。単なる外出支援ではなく、「地域の中で自分らしい時間を過ごす」ことを重視し、利用者の声を反映させた柔軟な活動設計が特徴とされています。
- 「行ける場所ではなく、行きたい場所へ」。
- 公共施設や観光地への外出を通じて、支援する側とされる側という境界を和らげ、街の中に友達や仲間を増やすことを目指している。実際に外出先で交流が生まれ、地域住民が障害や医療的ケアについて理解を深める契機となっている。
- また、参加者同士の交流が続くことで、家族同士の支え合いや情報交換の輪も広がっている。こうした「横のつながり」は、孤立を防ぐ大きな力になっている。
3. 登壇① 水野 英尚 氏(NPO法人みんなのプロジェクト 代表理事)
講演テーマ:「みんなで共に育てていく住まい方」
背景:人工呼吸器を使用する娘との生活が活動の原点。牧師として命や障害について語る立場でありながら、家庭では妻に頼りきりだったことを省み、娘の暮らしと真剣に向き合う決意を固めた経験を紹介されました。
課題の整理:
入所施設の待機者は延べ2.2万人にのぼり、全国的に多くの家庭が「暮らす場所が見つからない」という現実に直面している。家族は地域の制度や支援を探しながらも選択肢が限られているため、生活の見通しが立てにくい状況が続いている。
短期入所制度は「介護者が冠婚葬祭や体調不良の際に一時的に支援を受ける」ための仕組みであり、日常的に本人の暮らしを豊かにする視点や、長期的な生活設計に資する「本人のための制度」が必要なのではないか。
医療的ケアが必要な人はグループホームへの入居が難しいケースが多く、入所を希望しても対応できる施設が限られている。そのため親の介護力に大きく依存せざるを得ず、親が高齢化した場合や体調を崩した際に生活基盤が崩れるリスクが一層高まる。この現実は、本人と家族双方にとって大きな心理的負担となっている。
また、地域によってサービスの供給状況や制度運用に差があるため、場所によっては選べる選択肢がほとんどないという声も寄せられており、地域間格差も課題として浮き彫りになっている。\
解決のヒント
- 「分けると増える」そして「開くと出会う」という言葉は、水野氏が活動を説明された印象的なフレーズである。単純なスローガンではなく、実際の現場での経験則をまとめたものとして紹介された。 例えば、課題や負担を家族一組で抱え込むのではなく、地域や仲間と分け合うことで支える力がむしろ増えていく。また、閉ざされた家庭内の悩みや困難を外に「開く」ことで、新たな人や資源との出会いが生まれ、信頼関係や共感が育まれる。つまり、この二つの考え方を実践することで、暮らしの選択肢や人のつながりが飛躍的に広がるのだと説明された。
取り組み:
シェアードホーム「はたけのいえ」(福岡)
- 古民家を大幅に改修し、住宅としての快適さと医療的ケアに対応する機能を両立させた空間を整備。天井の高さや段差の解消、換気設備など細部にまで工夫が施されている。
- この場所では医療的ケア児4人が共同生活を開始し、家族だけでは担いきれない日常生活の支援を、地域の仕組みや外部の医療資源とつなげながら実現している。
- 訪問診療や訪問看護に加えて、重度訪問介護サービスを24時間体制で組み合わせることで、安心して暮らしを継続できるモデルを実践。
- また、地域住民やボランティアとの交流を積極的に取り入れ、食事のシェアや季節の行事などを通じて「暮らしの一部」として地域に溶け込むことを目指している。
- こうした取り組みによって、単なる建物の共有ではなく、人と人との関係性を育む場としての役割が強調されている。
- 「ハウス」ではなく「ホーム」と呼ぶことで、ここが単なる施設ではなく「あなたがそこにいてよい」と存在を認め合える場所であることを象徴的に示している。
「こもんのいえ」(2025年開設)
- 1年単位で居住体験を行い、本人・家族・地域が一緒に成長する取り組み。
- 長年母親と暮らしてきた人が初めて単独生活を経験するなど、暮らしの可能性を広げる場となっている。
メッセージ:
- 「安心安全は、医療スタッフの有無だけでなく、地域に信頼できる人がいることにある。つまり、日常の中で頼れる顔や声が近くにあるかどうかが暮らしの安定に直結する」
- 「住まいは、建物というハード面だけでなく、日々の関わりや支え合いによって形づくられる。家族や支援者、地域の人々が参加し合い、関係性を少しずつ積み重ねていくことで、本当の意味での『住まい』が育っていく。その過程こそが、安心できる生活を支える土台となる」
4. 登壇② 大久保 夏樹 氏(社会福祉法人ワーナーホーム 柏拠点 統括施設長/すくすくハウス)
講演テーマ:「大人になったら」〜すくすくハウスの取り組み〜
法人の歩み:1981年の設立以来、障害のある人が地域で生活できるよう支援。社会全体の理解や環境整備が十分ではなかった時代に「地域で暮らす選択肢」を問い直すところから出発。
すくすくハウスの展開:
- 2006年、放課後等デイサービスを開始。
- 高等部卒業後の「居場所がない」という声に応え、相談支援や就労支援、地域カフェへと活動を広げる。
- 2020年にはコロナ禍を契機にクラウドファンディングを実施し、多数の寄付や地域からの支援を得て活動を拡充。
- 2023年7月には短期入所や就労支援を組み合わせた複合施設として正式に開設。登録利用者は93名にのぼる。
取り組み:
- カフェでのコーヒー製造・販売やイベント出店などによる就労体験は、単なる作業の提供にとどまらず、地域の人々と直接触れ合い、成果物を通じて社会に関わる実感を持てる機会となっている。例えば、ドリップコーヒーの製造では、豆の選定やパッケージ作業などの工程ごとに役割を分担し、参加者それぞれが自分の得意な分野を活かす形で取り組んでいる。またイベント出店の際には、一般来場者との交流が生まれ、自らの作業が社会に求められていることを体感する機会となっている。
- 農作業を通じた地域交流もはじめており、地域の畑での水やりや収穫など、多様な活動が行われている。これらの取り組みを通して「知ってもらう」段階から一歩進み、「知り合う」関係性へとつながりが深まっていく。地域の人が一緒に作業に加わることで、自然な会話や笑顔が生まれ、参加者が地域の一員として受け入れられる雰囲気が育まれている。
- 短期入所では「個室にこもらず、食堂で皆と食事を共にする」ことを特に重視し、食卓を囲むことで生活の一体感を大切にしている。ここでの食事は単なる栄養補給ではなく、会話や交流の場であり、他者とのつながりを実感する時間となっている。スタッフやボランティアも一緒に席につき、食べ物を分け合うことで、家庭的な雰囲気を感じながら安心して過ごせる環境を提供している。
メッセージ:
- 親が語る内容や期待と、本人が心の中で感じている本当の希望や思いは必ずしも一致するとは限らないという点に改めて注意を促し、そのズレを理解した上で、本人の意思や選択を丁寧に汲み取り尊重する支援のあり方が重要である。親と本人のどちらか一方の声に偏らず、両者の思いをバランスよく理解することが大切
- 大切なのは「ずっと同じ場所にいること」ではなく、「安心して戻れる場所があること」。イメージはすくすくハウスがあって、その上に虹が地域にかかっているイメージです。安心できる拠点があり、そこから地域へと羽ばたいていける。そして困ったときにはいつでも戻ってこられる――そんな循環があることで、暮らし方や選択肢がもっと広がっていくのではないか。私たち自身も同じように不安を抱えています。だからこそ、ひとりで悩むのではなく、みんなで一緒に考えていけたら嬉しいです。
5. 登壇③ 熊谷 勇太 氏(株式会社HABING 代表取締役)
講演テーマ:医療的ケア・重度障害があっても“自分のリズムで暮らす”シェアハウス
経緯:ボランティア活動をきっかけに福祉分野に関わり、フリー介護士を経て2018年に法人を設立。制度調査を重ねた結果「法的に否定する根拠はない」との回答を得て、シェアハウス事業を開始。
施設の特徴:
- 利用者の生活リズムを尊重し、入浴回数や食事内容、起床・就寝時間を自由に決められる。
- 浴室は中央に特殊浴槽を配置し、360度から介助可能。洗面台もセンサー水栓を導入するなど細部にこだわる。
- 24時間365日の支援体制を整え、スタッフは全員が医療的ケア研修を修了。事務所を併設し、常に職員が近くにいる安心感を提供。
メッセージ:
- 「助けを求められることが、本当の意味での自立につながる。」
- 「制度や一律のルールに縛られるのではなく、本人のリズムに合わせた自由を重視したい」
6. パネルディスカッション
まとめ
使命感と出会いの力
- 「出会ってしまったから、やらざるを得ない」という使命感を共有。単なる義務感ではなく、当事者や家族と出会い、生活を共にした経験が行動を促す力となることが語られた。地域の担い手になる人々の原動力となっている点が印象的であった。
親と本人の認識のズレ
- 親の認識と本人の実際の姿の“ズレ”に気づくことの重要性。親は保護的な立場から考えがちだが、本人が望む生活や挑戦は異なる場合がある。特に青年期以降は自己選択の積み重ねが自立に直結するため、この「ズレ」を修正する努力が支援の鍵になるとされた。
暮らしを自分たちで形づくる姿勢
- 制度に依存するだけでなく、自分たちで暮らしを形づくることの大切さ。制度は不可欠だが、画一的ルールだけでは多様な暮らしを支えられない。地域ごとの工夫や近隣住民との関係づくりを通じて、日々の生活をデザインする姿勢が強調された。具体例として、食卓を共にする習慣や、ボランティアと家族の役割分担などが挙げられた。
議論の広がり
人材育成
- 新しい担い手の育成については、学生インターンの受け入れ、地域ボランティアの体系的研修、専門資格を持つ人材への働きかけなど、複数のアプローチが議論された。
- 専門職と地域住民の協働では、単なる役割分担ではなく、互いに学び合い交流する仕組みづくりが必要とされた。
資金面
- 運営の持続可能性を確保するため、寄付制度やクラウドファンディング、地域企業のスポンサーシップが具体的に挙げられた。
- 公的補助金の獲得や、家族の負担軽減と参加促進の仕組みも話題になった。
参加者からの具体的アイデア
- 「見学や相談の場を有償で設ける」
- 「看護師と介護士が連携して負担を分け合う」
- 「地域の集会所を活用して定期的な交流イベントを行う」
これらの具体的な工夫は、理念にとどまらず現場で実践可能な方法として共有され、今後の暮らしの在り方を支える現実的な道筋を示す時間となった。
7. 学びと感想
今回のシンポジウムの中で、特に心に残ったのは2つの言葉でした。
ひとつは水野氏が語られた 「分けると増える」「開くと出会う」 という考え方です。 家族だけで課題を抱え込まず、地域や仲間と分け合うことで、むしろ支える力が大きくなる。閉ざされた家庭内の悩みを外に開くことで、新しい人や資源と出会い、信頼や共感が広がっていく。
もうひとつは大久保氏の 「安心して戻れる場所があることが大切」 というメッセージです。 ずっと同じ場所にいるのではなく、拠点を持ちながら地域に羽ばたいていき、困ったときにはまた戻って来られる。すくすくハウスを拠点に、虹が地域にかかっているイメージで語られたその言葉は、本人や家族だけでなく、誰にとっても暮らしの安心感の根幹を示しているように思えました。
この2つの言葉を通じて、私は「支え合いは閉じるのではなく開くことで広がり、暮らしの安心は一人で完結するのではなく戻れる場所があることで生まれる」ということを学びました。
医療的ケアや障害のある方の暮らしに直接関わってはいない自分にとっても、この考え方は普遍的であり、地域や日常の人間関係にも通じる大切な視点だと思います。 まずはこういうことを知る機会を得られたことに感謝し、学びを次にどうつなげていけるかを考えていきたいです。
Using PowerShell Core with Azure
Azure Friday Using PowerShell Core with Azure の概要
2018/3/9のAzure Fridayの内容は「Using PowerShell Core with Azure」です。PowerShell CoreがAzure Cloud Shell上で利用できるようになっていて、Windows Server はもちろんのこと、PowerShell CoreをLinuxに設定しておくと複数プラットフォーム、複数ノードに一括でコマンドが発行できて、一覧で参照できて便利ですという話でした。
PowerShell Core とは
PowerShellは、マイクロソフトが開発した拡張可能なコマンドラインインターフェース (CLI) シェルおよびスクリプト言語です。. NET Frameworkを基盤としていたのでWindowsの管理に利用することが今でも主要な用途だと思います。
基盤として利用していた、.NET Framework が、.NET Coreとなりクロスプラットフォームで動作することができるようになりました。それを受けて、PowerShellも基盤を.NET Coreに移行し、クラスプラットフォーム(Windows, macOS, Linux)で動作できるようにした新しいエディションが、「PowerShell Core」です。また、PowerShellのリモートコマンドを、OpenSSH を利用して接続できるような改善も行われています。
実行方法
- 管理対象のホストやサーバへ、「PowerShell Core」をインストール
Windows への PowerShell Core のインストールInstalling PowerShell Core on Windows | Microsoft Docs
- 管理対象のホストやサーバで、「OpenSSH」のセットアップを行う
SSH 経由の PowerShell リモート処理PowerShell Remoting Over SSH | Microsoft Docs
- Azure CloudShellで各サーバとOpenSSHでセッションを確立する
- コマンドを実行する
3, 4は以下の動画を見て頂くとイメージをつかめます。(4:30からスタート)
まとめ
各ホストへコマンドを同時に流して、結果を集約して参照することができるのは便利ですね。
データセンターやこういったものがなかった時代は、踏み台用にサーバを準備していたりしました。CloudShellでは、Azure Filesにファイルやデータを保存することができるので、サーバ操作をするときは基本的にはCloudShellから行うようにしていけるとメンテナンスフリーでいいで助かりますね。
Portalへのログインのセキュリティ、操作ログ、GUIで操作したいといったものから、自動化できないのか?など、いろいろでてくるのですが、操作する対象の違いや優先度によって、どこから何ができるようにするのかは改めて考える必要があり、そこにもクラウドを利用するメリットがあると思います。
GitHubの多要素認証とVisualStudioでのソースコード管理
GitHubの多要素認証を設定していると、VisualStudioでリポジトリを読み込もうとしても401のエラーになってしまいます。
解決方法が以下のURLに書いてあったのでご紹介とメモ
Kris' blog - Github and Visual Studio and two factor authentication
ポイントは、Githubでトークンを作って、VisualStudioからGitへ接続するときのユーザ名にトークンを指定して、パスワードには何も入れない。
既存のリポジトリのクーロンを作る手順
- Githubへアクセス
- Settingsを選択くする
- Applicationsを選択する
- Personal access tokens の Generate new token を選択する
- Token description にトークンの名前を付ける(任意の名前)
- Select scopes に repo、gist、user を選択して、Create Tokenを選択する
- 出来上がったトークンを退避する
- VisualStudioを立ち上げる
- スタートメニューのソース管理から開くを選択
- ローカルGitリポジトリの複製を選択
- GitリポジトリのURLを入力する
- ソールコードを保存するディレクトリを選択する
- 複製を選択する
- ログインダイアログが出力される
- ユーザ名の欄に、Githubのトークンを登録する
- パスワードの欄は、空欄のままにする
- ログインボタンを選択する
- 完了
「競争優位は「川下」でつくられる」のまとめ
Harvard Business Reviewの
「When Marketing Is Strategy マーケティングが戦略になる時代
競争優位は「川下」でつくられる」を読んでのメモ
「顧客のために他に何ができるか」
川上 調達 生産 物流
川下 顧客のコストやリスクを減らすための活動
例
<コカ・コーラ>の買い方
スーパーやディスカウントストアでは、24缶のパックの1つとして購入され 1缶あたり24セント
夏の暑い日に公園にいて喉が乾いたら、1缶当たり2ドルの冷えたコーラを自動販売機で買う
700%の価格プレミア 24セント → 2ドル
商品入手の利便性が向上したこと顧客が重視すること
24缶パックを忘れずに買っておき、1缶だけ取り出して残りをしまう場所をさがし
その1缶を一日中持ち運び、喉が乾くまでどうやって冷やしておくか考える、必要がないこと特定の消費者環境に即して商品を届ける
ビジネス戦略上の問い
「他に何がつくれるか」 から 「顧客のためにほかに何ができるか」 へ
ビジネスの中心は「顧客と市場」であり、「工場でも製品」ではない戦略の原則
原則1
競争優位の源泉・中心は、企業の外にある
競争上の強みは時間とともにライバルに浸食されるのではなく、むしろ経験と知識によって蓄積される。
原則2
競争の方法は時間とともに変化する。
製品の向上ではなく、顧客のニーズであり、彼らの購買基準を踏まえたポジショニングである。
製品・サービスを市場にどう認識させるか、誰を競走相手にするかを企業は選ぶことができる。原則3
市場のスピードや進化を決めるのは、製品・技術の改善でなく、顧客の購買基準の変化ブランディングの世界の古典的な思考実験
コカ・コーラの世界中の有形資産が一夜にしてなくなった場合
コカ・コーラのことを、世界中の人の記憶から一夜にしてなくなった場合
どちらが、大きな問題となりうるか。消費者とブランドのつながりが失われたほうが、川上の全資産の喪失よりも痛手が大きい。
市場でのつながりを確立・強化すると「定着」が生じる。
ライバルが同程度またはそれ以上の価値を提供しても、顧客や協力企業は乗り換えない。(乗り換えられない)ブランドに何百万、何十億という人々がロイヤルティを持ち続ける選択をしたら
それこそが競争上の強みとなる。顧客の声に耳を傾けることは必須なのか
顧客が口にする要望に応えるのではなく
顧客が求めるものを自社で規定し、彼らの「購買基準」を定めることスティーブ・ジョブスがiPadの開発に至った市場調査に聞かれて
そんなものはない。自分がほしいものを知るのは消費者の仕事ではない。自社のカテゴリーにおける「性能の基準」を規定する企業が市場のリーダーとなっている
ボルボ: 安全に関する基準を定める
ファブリーズ: 顧客が「清潔な家」をどのように認識するかを再定義
ナイキ: 顧客に「自分の力を信じる」をいう基準を示す
川下の活動における戦略目標
消費者がさまざまな購買基準の相対的重要性をどうとらえるかに影響を及ぼし
新しく魅力的な基準を導入することである。競争優位は時間とともに損なわれるのか
川上: ライバルの追い上げにより浸食されていく
川下: 時間とともに、顧客数の増えるにつれて、競争優位は強化される。強みは蓄積される。フェイスブックの例
ウェブ上にアカウントを持つ10億人の人たち。ネットワーク効果。
ネットの代表的な「広場」としての地位を守るため
データを移植させない / タイムライン / イベント / ゲーム / アプリ
すべてが「定着」を促す要素ネットワーク効果の本質は、その蓄積性にある。
オリカの例
気づき
顧客が、爆薬の安全な輸送・保管についてはもちろんのこと
事故を起こさずに爆薬を扱えるかどうかを口には出さずとも心配しているようだと気付く。目的
もしそのリスクやコストを少しでも計画的に削除できれば、
採石事業者に対して大きな新しい価値を提供することになる実行
さまざまな採石業者の何百という爆破案件のデータを収集し
爆破結果を左右する要因の理解につながる驚くべきパターンを発見提供した価値
爆破結果を特定の許容範囲内に収める保証をしたその後
競争優位を築いただけでなく、優位性は時間とともに蓄積した。
データが増えていくにつれて爆破予測の精度があがり、競合他社への優位性が高まる。競争相手を選べるか
3つの重要な意思決定によって、誰と競争するのかを決められる。
1)自社の製品・サービスを顧客の意識の中にどう位置づけるか
水分補給飲料: 胃腸疾患の回復期に飲む、アスリートが休憩時に飲む、二日酔いの人が飲む
顧客が認識するベネフィットが違う
2)流通チャネルのなかで自社を競合他社に対してどう位置付けるか
ブリタニカ: 浄水器をスーパーマーケットのミネラルウオーターの横に置く
1ドル当たり数ガロン多い浄水を提供できるためコストメリットがある
ヨーグルト: ほとんど同じで、差別化要因がない
3)価格をどう設定するか
インフィニティ: G35をBMW3の対抗車として選んだ、適切な価格設定をすることで
BMW5の顧客は、BMWを持っていた人や非常に高価で、ブランドの名声と価値提案を求めている。
BMW3の顧客は、検討する上で価格を主な基準にする。川上以外のイノベーション ヒュンダイの例
ほとんどの自動車メーカー: 価格を下げ、キャッシュ・バック、ディーラー・インセンティブという値下げ
ヒュンダイ:
見込み客になぜ買わないのかを尋ねた。
金融危機で、いつ職を失うか分からない時に車の購入はリスクが高いと考えていた。
プラン: 購入後1年以内に、職を失った場合、無条件に(信用格付けを損なうことなく)車を返還できる
→ 業界が37%の売上ダウン。ヒュンダイは、売り上げは倍増。よりよい自動車を売るためではなく、自動車をよりうまく売るためのイノベーションを起こした。
顧客のコストやリスクを削減することになった。
フェイスブック: 友達と交流するコストを減らした。
オリカ: 爆破に伴う採石業者のリスクを低減した。
コカ・コーラ: 喉が渇いたときに冷たい清涼飲料水を見つけるコストを減らした。イノベーションの速度はR&D段階で決まるのか
製品・技術の向上が市場で有効となるのは、川下の競争優位を覆すときに限られる。
競争相手による新製品の発売や新機能の導入をいちいち気にかける必要はない。
注意が必要なのは、顧客の購入基準に対する支配権を奪おうとするものだけ。ジレット: 市場がいつ次世代のかみそりと刃へ移行するのかをコントロールしている。
競合他社は、ジレットが刃が一枚追加されることを知っていた。ただし、どこもしなかった。
理由は、先取りしても得られるものがないから
顧客の購買基準 - 顧客の信頼 - は、ジレットが握っていたから
追加の刃が信頼され実質的に有効となるのは、ジレットが発売を決め
マーケティングをしてからになるから。
ジレットがそれを認めない限り、事実にはならない。
業界のスピードを決めるのは
技術改良でなく マーケティングの力市場の変化
進化的な変化
既存の購買基準の枠組みが押し広げられる
→燃費の向上など世代的な変化
古い基準を補完する新しい基準が導入されるときに起こり
新しい市場セグメントの開拓につながることが多い
→無糖ソフト・ドリンクなど革命的な変化
新しい基準が導入されるだけでなく
それによって古い基準が陳腐化する時に起こる
→タッチ・スクリーン、マルチタッチインターフェイスはスマートフォンに期待するものを変えた大変さ
進化的な変化<世代的な変化<革命的な変化
顧客の購買基準を変える
市場を変化させるうえで、技術は必要だが十分条件ではない。
顧客に進化的、世代的、革命的な変化を経験させるのは川下の活動である。
重心の位置が変わった
価値と競争優位の重心は、企業の内部から市場へと移り始めている。
顧客のコストやリスクを減らして支持を獲得し、揺るぎない差別化要因を打ち立ててライバルを撃退する。
「こちこちマインドセット(fixed mindset)」と「しなやかマインドセット(growth mindset)」
Harvard Business Review の記事
「しなやかマインドセット」から組織がメリットを得るには
を読んでのメモ。
こういったように抽象的だった概念を言葉や実験で具体的にして
まとまったものがあると、自分の考えの整理にもなっていいです。
仲間を信じて、仲間を助けて、お互いに言いたいことを言い合って、聞いて
変えるべきことを変えていけたら、どんなことも前に進めていけると思う。
しなやかマインドで、自分の周りにいる仲間たちが、働けるよう、生活できるように
していきたい。
以下、まとめ。
2つのマインドセット
こちこちマインドセット: 才能とは一種の資質であり、人々はそれを「持っているか」、「持っていないか」のどちらかだと考える。
しなやかマインドセット: 困難をエンジョイし、学習意欲に燃え、常に新たなスキルの開発の可能性を探っている。
参考の書籍:
「やればできる!」の研究―能力を開花させるマインドセットの力
組織もこのマインドを持てるのか
こちこちマインドの社員
ほんの一握りの花形社員が高く評価されていると思い、
会社への思い入れが薄く、会社が自分をさせえてくれると思っていない
失敗に対する不安を感じているため
革新的なプロジェクトを進めようとする意欲に欠けていて
常に秘密を抱え、安易な方法を模索し、出世競争の中で騙し合いをしていた
しなやかマインドの社員
47%が、同僚は信頼に足る人間だと思い
34%が、会社は自分の一部であり責任があるとの強い意識を持ち
65%が、会社はリスクを取ることをサポートしてくれると述べ
49%が、会社はイノベーションを生み出していると述べている
しなやかマインドセットを持つCEOの象徴は、GEのジャック・ウェルチ
ジャック・ウェルチの採用基準は
「血統」 これまでの経歴 ではなく
「ランウェイ」 これからの飛躍の可能性 であった。
しなやかマインドの管理職
部下たちは
革新的である
チームワークを重んじている
学習や成長にも積極的に取り組んでいる
と、評価している。
部下たちには、管理能力があるという意見も多い。
こちこちマインドを持った組織
条件反射的に、社外から人を探す
人財選びで、資格や過去の実績を重視
しなやかマインドを持った組織
社内から人を探す
潜在能力や学習意欲に価値を置く
グーグルの人事も変わってきていて
大学の学位は持っていないが自学自習ができる人の採用を始めている
