「個」を見つめるダイアローグ 村上龍 X 伊藤穣一

最近日本に関して、考えるための本がいくつか出ています。

恥ずかしながら、いままで日本について真剣に考えたことや
政治について考えたことがなかったのでいい勉強になります。

今回は、この本を読んでみました。

「個」を見つめるダイアローグ

「個」を見つめるダイアローグ

以下は、こころに残ったところです。

P.31
人間はコミュニケーションする動物だから、何か伝わっただけでもうれしいんだよ。

P.36
ITバブルが弾けたのも、独占主義を強めていくと、結局いいものが作れなくなっていくんじゃないか、それってどこかおかしい、ということで崩れたと思うのね。それと同じことはこれから何回もあると思う。

P.61
子どもに、「自立性が大事だ」「国際性も身につけなきゃ」と言いながら、その一方で一からお膳立てするような修学旅行とか、月曜日の朝会とか、昔の習慣をたんたんと続けている。それをやめていくだけでも、子どもたちの感覚も結構違ってくると思うんだよ。

P.63
見方を変えれば、これからの若い人は、すごく大変だと思う。無難な思考が通用しない世の中に、否が応でも直面せざるをえないんだから。

P.65
本当は、具体的にどういう努力をしていれば、どういう報われ方をするのかということが問題で、「努力すれば報われる」というような常套句はもう破綻しているんだよね。
P.66
情報社会になってくると、ただ頑張るだけでは通用しなくなる。人と違うことを考えたり、その情報を加工することが、価値を生んだりするからね。
P.67
60年代のカウンター・カルチャーを引っ張ったティモシー・リアリーが言ってたんだけど、「権威を疑って自分で考えて、そして行動を起こせ」と。

P.82
今の日本というのは、どこか機械みたいで、決まったルール通りに動いていれば何も考えなくてもいい。でも、動くスピードはものすごく速い。何かの拍子に暴走しても、誰もブレーキをかけられない。

P.86
決定権と責任がセットになっていない
そもそも、決定権と責任というのはワンセットでなきゃいけないわけでしょう。ディシジョンメイク(最終的な決定)できるから、そこにリスポンシビリティ(責任)があって、何か問題が起きたときは責任をとって辞めるという結果にもつながるわけだよね。

P.104
そのとき、緒方貞子さんから「キミね、日本のことだけ考えてるなんて小さいよ。世界のことをやるんだから、もっと世界の人になれ」と言われて。それで、謙虚になった。

P.108
一つ言えるのは、彼らは対立するけど、議論の前提となるものをきちんと整理しようという姿勢はつねにもっているよね。
P.109
ゴーンは最初に、「コミットメント」という言葉を取り上げて、自分とみんなが使っているニュアンスが違うと言って、その定義から始めたらしい。そうやって言葉の一つ一つを、日産再建の議論を始める前提として整理していったそうだけど、すごく大切なことだったと思う。

P.111
結局、建前と本音というのは、自分の利害を隠すか出すかの違いがあるだけなんだよ。

P.187
二宮金次郎の話。

P.195
日本で「グローバル」というと、あくまで経済的なグローバルなんだよね。
じゃあ、どうしたら外国で起きている問題とも真正面から向き合えるようになるかと言えば、本を読むだけじゃなくて、やはり世界に出て、そこで誰かと友達になって心を通わせる。時には議論もする。そういう経験を積んでいくことが、一番速いんじゃないかなあ。

P.196
六本木ヒルズに住んでいる人と何が違うかというと、「何が気にかかるのか、どうすればみんながハッピーになるのか」、それを考えているかどうかかもしれない。

P.202
でも今は、たとえ日本で成功しても、それだけじゃ評価されない時代なんだよね。

P.229
首都のハバナは海に面していて、家の中にエアコンのある家は少ないから、土日になるとみんなで海に出て行く。大きな堤防があって、そこに何百人と集まって、音楽を聴いたり、恋人とキスしたり、その辺で売られているオレンジジュースを飲んだりしている。その前を夕陽がバーッと沈んでいって、この風景を見るたびに、これをハッピーって言わなかったら何をハッピーって言うんだと、僕はいつも思う。

その他、最近読んだ日本について書かれている本

ドラッカーの遺言 (講談社BIZ)

ドラッカーの遺言 (講談社BIZ)

幸せを奪われた「働き蟻国家」日本―JAPANシステムの偽装と崩壊

幸せを奪われた「働き蟻国家」日本―JAPANシステムの偽装と崩壊

どちらも現状の日本に対する問題点とそれを乗り越えることが
日本に期待されている。アジアという舞台でどう日本が
動くことができるか。動いてほしいということが書かれています。